はじめの一歩で幕之内一歩が使うデンプシーロールは、本当にある技なのか。上体を大きく振りながら左右から打ち込む姿を見て、そう思った人は多いはずです。名前は知っていても、どんな動きで、なぜ強いのかまでは説明しにくいでしょう。実際の試合で見かけないのに、なぜ有名なのかも気になるところです。デンプシーロールは、実在のボクサーが使った戦法から生まれた技です。この記事では、動きと名前の由来、使った実在のボクサー、今の試合で名前を聞かない理由を解説します。ほかのボクシング漫画の必殺パンチとの比較や、アニメの配信先もまとめました。

デンプシーロールとは

デンプシーロールは、上体を振ってパンチをよけながら、その反動で左右のフックを打ち込む技です。守りと攻めが1つの動きになっているのが特徴です。よける動きが、そのまま次のパンチの力になります。表で全体をつかんでから、動きと強みを見ていきましょう。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 動き | 上体を∞の字に振り、戻る反動で左右のフックを連打 |
| 名前の由来 | 元世界ヘビー級王者ジャック・デンプシー |
| 狙い | よけながら体重の乗ったフックを打ち込む |
| 使う場面 | 相手が弱ったときのとどめ |
| 弱点 | 動きが規則正しく、カウンターを合わせられやすい |
∞の字のウィービングと左右のフック
上体を∞(無限大)の字を描くように振るのが、デンプシーロールの動きです。上体を振るウィービングと、横から打つフックの組み合わせになっています。
体を左に振れば右のフックが、右に振れば左のフックが、戻ってくる勢いに乗って飛び出します。振り子のように動き続けるため、相手からは的が定まりません。そのうえ、体重が乗ったフックが左右から休みなく襲ってきます。ウィービングとフックのそれぞれの意味は、ボクシングのパンチの種類と防御の記事で詳しく解説しています。
守りと攻めが1つになった動き
デンプシーロールの強みは、よけることと打つことを同時にできる点です。
ふつうは、パンチをよけてから打ち返すまでに、わずかな間ができます。デンプシーロールは、よけるために振った上体の勢いを、そのままパンチに変えます。そのため、相手は打ち返す間もなく、左右から重いフックを浴び続けることになるのです。
インファイター向きの技
デンプシーロールは、相手の懐に入って打ち合うインファイター向きの技です。
上体を振りながら前に出て、近い距離から左右のフックを打ち込むのが基本の形になります。遠い距離からジャブで組み立てるアウトボクサーの戦い方とは、なじみにくいでしょう。前かがみで体重を乗せて打つ点も、接近戦を得意とする選手の動きと重なります。インファイターやアウトボクサーといったファイトスタイルの違いは、ボクシングのパンチの種類と防御の記事で解説しています。
デンプシーロールは実在する本物の技

デンプシーロールは、漫画のための作り話ではありません。元になったのは、1世紀前の世界ヘビー級王者が実際に使った戦い方です。日本にも、これを使いこなした世界王者がいました。実在する本物の技です。ただし、今の試合で「デンプシーロール」という名前を聞くことはまずありません。生みの親、日本での使い手、名前を聞かない理由の順に見ていきます。
生みの親ジャック・デンプシー
ジャック・デンプシーはアメリカのボクサーで、1919年から1926年まで世界ヘビー級王者でした。
当時のボクサーは、重心を後ろにかけて構えるのが普通でした。デンプシーは重心を前にかけ、前かがみの姿勢から体重の乗ったパンチを打ちました。上体を∞の字に振ってよけ、その反動で左右の連打を打ち込む戦い方は、デンプシーが始めたものとされています。自分より大きな相手を次々と倒したため、当時のボクサーたちがこぞってまねをしたと言われるほどです。デンプシーロールという名前は、デンプシー(人の名前)が使ったロール(転がるような動き)という意味になります。
日本で最初の使い手は藤猛
日本で最初にデンプシーロールを使いこなしたのは、藤猛(ふじ・たけし)と言われています。
藤猛はハワイ生まれの日系3世で、トレーナーのエディ・タウンゼントに鍛えられました。1967年に世界スーパーライト級王者になり、デンプシーロールと「ハンマー・パンチ」と呼ばれた強打で知られています。片言の日本語で語った「ヤマトダマシイ」という言葉でも知られています。
今の試合で名前を聞かない理由
今の試合で「デンプシーロール」という名前を聞かないのは、動きが規則正しく、カウンターを合わせられやすいからです。
上体を一定のリズムで振り続けると、相手は次に頭が来る場所を読めます。そこにカウンターを合わせられると、自分から相手のパンチに飛び込む形になってしまいます。そのため、相手が弱って打ち返せなくなったときの「とどめ」に使うのが普通です。また、上体を振ってフックを打つ動き自体は、接近戦の基本として今も使われています。決まった型としてではなく、普段の動きの中に溶け込んだため、名前で呼ばれなくなったとも言えるでしょう。
デンプシーロールと漫画の必殺パンチ

ボクシング漫画には、デンプシーロールのほかにも名前のついた必殺パンチがあります。あしたのジョー、リングにかけろ、がんばれ元気の必殺パンチと比べてみましょう。クロスカウンターは実際のボクシングにもある技ですが、ブーメランフックとアッパーストレートは漫画ならではの技です。表で並べてから、相性を1つずつ見ていきます。
| 技 | 作品・使い手 | 動き | 実際のボクシングでは |
|---|---|---|---|
| デンプシーロール | はじめの一歩・幕之内一歩 | ∞の字のウィービングから左右のフック | 実在する(デンプシーの戦法) |
| クロスカウンター | あしたのジョー・矢吹丈 | 相手のまっすぐのパンチに腕を交差させて打ち返す | 実在する(カウンターの一種) |
| ブーメランフック | リングにかけろ・高嶺竜児 | ひねりを加えた左フック | 実在しない(ひねりはストレートの打ち方) |
| アッパーストレート | がんばれ元気・堀口元気 | 身をかがめ、伸び上がる勢いであごへストレート | 実在しない(身長差がないと成り立ちにくい) |
デンプシーロールVSクロスカウンター
カウンターはデンプシーロールに有効ですが、「クロス」の形にはなりにくいと考えられます。
クロスカウンターは、相手のまっすぐのパンチに自分の腕を交差させるように打ち返す技で、あしたのジョーの矢吹丈の代名詞です。実際のボクシングでも使われ、相手が打ってくる勢いを利用するため、軽く当てても大きく効きます。デンプシーロールは動きが規則正しく、頭の来る場所を読まれやすいので、カウンターそのものは有効でしょう。ただし、デンプシーロールのパンチは横から来るフックです。まっすぐ伸びてくるパンチに腕を交差させるクロスカウンターは、フックが相手では形になりにくいのです。

デンプシーロールVSブーメランフック
どちらもフックの技ですが、連打のデンプシーロールと、一撃のブーメランフックという違いがあります。
ブーメランフックは、リングにかけろの高嶺竜児が、姉の菊に習った左フックにひねりを加えて磨き上げた技です。作中ではコークスクリュー・ブローとして描かれますが、実際のコークスクリュー・ブローは、ストレートを打つときに拳をひねり込む打ち方です。横から腕を振るフックでは、同じようにひねりを加えることはできません。ブーメランフックは、漫画ならではの必殺パンチと言えるでしょう。デンプシーロールは左右から何発も打ち込むため、一発をよけられても次が来ます。一方、ブーメランフックは一発で倒す威力が持ち味です。
デンプシーロールVSアッパーストレート
アッパーストレートは、真下からあごを狙う一発勝負の技です。
がんばれ元気の主人公、堀口元気が使う必殺技になります。大きく身をかがめ、立ち上がる勢いを使って相手のあごへストレートを打ちます。背の低い子どもが大人のあごを下から打ち上げるような、身長差があってこそ成り立つ打ち方と言えるでしょう。同じくらいの体格どうしでは、大きく身をかがめている間に打たれてしまいます。デンプシーロールが横から連打するのに対し、アッパーストレートは下から一撃を狙います。上体を低く振るデンプシーロールの相手には、下から突き上げるパンチが当たりやすいという見方もできるでしょう。
理屈の上での相性
理屈の上では、デンプシーロールの天敵は、規則正しい動きに合わせるカウンターと言えるでしょう。
カウンターは、相手の攻めが強いほど威力を増します。ただし、フックが相手ではクロスの形になりにくく、合わせるならクロス以外の形のカウンターになるでしょう。4つのうち、実際のボクシングにある技は、デンプシーロールとクロスカウンターの2つにとどまります。ブーメランフックとアッパーストレートは、漫画の中だからこそ生きる必殺パンチです。どの技も、使う選手と相手しだいで強さが変わるのが、ボクシングの面白いところです。
デンプシーロールのアニメ配信先

デンプシーロールは、アニメのはじめの一歩で見られます。比べたクロスカウンター、ブーメランフック、アッパーストレートも、それぞれの作品のアニメに出てきます。ここでは4作品について、原作の作者と連載誌、アニメの放送年と話数、見られる配信先をまとめました。広告のリンク先は、それぞれの作品を見られるサービスです。配信の状況は2026年10月時点のものです。
はじめの一歩(デンプシーロール)
はじめの一歩のアニメは、Leminoのプレミアム(月額)で全シリーズを見られます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 原作 | 森川ジョージ |
| 連載 | 週刊少年マガジン(1989年〜連載中) |
| アニメ第1期 | 2000年10月〜2002年3月・全76話 |
| New Challenger | 2009年1月〜7月・全26話 |
| Rising | 2013年10月〜2014年3月・全25話 |
| そのほか | テレビスペシャル・OVA(2003年) |
| 配信先 | Lemino、DMM TV、Hulu、dアニメストア |
あしたのジョー(クロスカウンター)
あしたのジョーのアニメは、DMM TVの見放題(DMMプレミアム)で2シリーズとも見られます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 原作 | 高森朝雄(梶原一騎)・作、ちばてつや・画 |
| 連載 | 週刊少年マガジン(1968〜1973年) |
| アニメ第1作 | 1970年4月〜1971年9月・全79話 |
| あしたのジョー2 | 1980年10月〜1981年8月・全47話 |
| 配信先 | DMM TV、U-NEXT、dアニメストア |
DMM TVの見放題を見るには、月額550円(税込)のDMMプレミアムへの登録が必要です。DAZNでボクシングも見るなら、DAZN STANDARDとDMMプレミアムがセットになった「DMM×DAZNホーダイ」がお得です。月額3,480円(税込)で、別々に契約する(4,750円)より1,270円安くなります(2026年10月時点)。
リングにかけろ(ブーメランフック)
リングにかけろのアニメは、U-NEXTの見放題で4シリーズすべて見られます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 原作 | 車田正美 |
| 連載 | 週刊少年ジャンプ(1977〜1981年) |
| リングにかけろ1 | 2004年・全12話 |
| 日米決戦編 | 2006年・全12話 |
| 影道編 | 2010年・全6話 |
| 世界大会編 | 2011年・全6話 |
| 配信先 | U-NEXT、dアニメストア |
本ページの情報は2026年10月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。
がんばれ元気(アッパーストレート)
がんばれ元気のアニメは、Prime Videoのチャンネル「東映アニメチャンネル」で全35話を見られます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 原作 | 小山ゆう |
| 連載 | 週刊少年サンデー(1976〜1981年) |
| アニメ | 1980年7月〜1981年4月・全35話 |
| 配信先 | Prime Videoの東映アニメチャンネル(月額498円、2026年10月時点) |
| 見方 | プライム会員がチャンネルに登録。1話ごとのレンタルはなし |
| 第1話 | 東映アニメーションの公式YouTubeで公開 |
よくある質問

デンプシーロールについて、よく調べられている疑問をまとめました。内容は2026年10月12日時点のものです。
デンプシーロールは実在する?
実在します。元世界ヘビー級王者のジャック・デンプシーが使った戦法が元で、はじめの一歩はそれを主人公の必殺技にしました。
日本で使ったボクサーは?
日本で最初に使いこなしたのは、元世界スーパーライト級王者の藤猛と言われています。トレーナーのエディ・タウンゼントに教わりました。
試合で使うと反則?
反則ではありません。反則の決まりは、ベルトより下を打つ、頭をぶつけるといった打つ場所や体の使い方に関するものです。
デンプシーロールの弱点は?
動きが規則正しいため、カウンターを合わせられやすいことです。そのため実際の試合では、相手が弱ったときのとどめに使われます。
はじめの一歩のアニメはどこで見られる?
Leminoのプレミアム(月額)で、テレビ3シリーズとテレビスペシャル、OVAを見られます。DMM TV、Hulu、dアニメストアでも配信しています(2026年10月時点)。
まとめ

デンプシーロールは、元世界ヘビー級王者ジャック・デンプシーの戦い方から生まれた、実在する本物の技です。日本では藤猛が使いこなし、はじめの一歩で一気に有名になりました。上体を∞の字に振ってよけ、その反動で左右のフックを打ち込みます。強力な一方で、動きが規則正しいためカウンターに弱いという弱点もあります。アニメで見れば、強さと弱点の両方がよく分かるはずです。
- 由来はジャック・デンプシー
- 日本で最初の使い手は藤猛
- 守りと攻めが1つの動き
- 弱点はカウンター
- アニメはLeminoなどで配信
- 天敵はカウンター



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