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松本流星はなぜWBAを返上したのか【9/27にWBO暫定王者】

松本流星がWBAを返上した理由を示すアイキャッチ 選手情報

試合は終わりました。9月27日のWBO世界ミニマム級暫定王座決定戦は、松本流星がラッセル・アコスタに3対0の判定(118-110、115-113、116-112)で勝ち、暫定王者になりました。4つの世界戦の結果は那須川天心vs井上拓真2の結果【なぜ判定負け?採点と4大世界戦の全結果】にまとめています。この下は試合前に書いた記事です。

松本流星がWBA世界ミニマム級のベルトを返上したのは、2026年3月の初防衛から2か月半後のことでした。負けたわけでも、階級を上げるわけでもありません。狙いは、同じ階級の頂点に立つオスカー・コラーゾとの統一戦でした。ところがそのコラーゾが、今度はフライ級へ挑戦することになります。追いかけた相手に先を越された形で、次戦は9月27日のWBO世界ミニマム級暫定王座決定戦に決まりました。当初は勝っても正規王者になるまで13日待つ予定でしたが、コラーゾの骨折でその時期も決まらなくなりました。

松本流星とラッセル・アコスタのスタッツカード(Prime Video Sport JPのXより)
この記事で分かること
  • WBAを返上した理由
  • 9月27日の暫定王座決定戦
  • WBC王者との交渉の行方
  • 高田勇仁との2度の対戦
  • 無敗のアコスタという相手

結論から言えば、9月27日の配信はAmazon Prime Videoの独占です。まずは、なぜベルトを手放したのかから見ていきます。

松本流星がWBAを返上した理由

松本流星がWBA王座を返上した理由を示すバナー

松本流星が持っていたのは、WBA世界ミニマム級の「レギュラー王座」でした。WBAでは、他団体のベルトもあわせ持つ統一王者がいると、その選手を「スーパー王者」とし、別にレギュラー王者を置きます。このレギュラー王者という立場では、WBCやIBFなど他団体の王者との統一戦が承認されないことがよくあります。上にいたのは、WBAとWBOを統一したオスカー・コラーゾでした。返上を発表した日、松本は「団体の枠に捉われず強い相手と戦っていきたい」とコメントしています。

上にいたスーパー王者コラーゾ

コラーゾはプエルトリコの29歳で、ボクシング好きなら知っている王者です。

WBOとWBAの2団体を統一し、ミニマム級で史上初めてザ・リング誌の王者にもなりました。2025年12月には同誌のパウンド・フォー・パウンドで10位に入っています。15戦全勝の無敗で、BoxRecのミニマム級ランキングでも1位です。

松本がWBAのベルトを巻いた時点で、その上にはすでにこのコラーゾがいました。

WBCを取りに行く計画

松本の考えは、いったんWBAを離れて別の団体のベルトを取ることでした。

会見でRONSPOの取材に対し、「WBCを取れば、向こうにも(僕と対戦する)メリットが生まれるかなと」と語っています。2団体の統一王者から見れば、同じWBAのレギュラー王者を倒しても得るものは多くありません。WBC王者になれば、3団体統一をかけた相手として価値が生まれるという計算です。

2026年6月1日、松本はWBAのベルトを返上しました。

返上するんかいと笑った理由

ところが、話は思わぬ方向へ進みます。

当のコラーゾが、10月10日にアメリカのシカゴでフライ級の2団体王者に挑むことになりました。WBOは、その試合のゴングと同時にコラーゾの王座を空位にすると決めています。追いかけていた相手が、自分から階級を離れていく形でした。

松本は「返上するんかい?って感じです(笑)。ガッカリはガッカリ。でも逆に開かれたかな」と笑っています。

松本流星の次戦は9月27日

コラーゾの骨折で正規王座の扱いが決まっていないことを示すバナー

空位になるWBOの王座をめぐって組まれたのが、9月27日の暫定王座決定戦です。相手はWBO3位で17戦全勝のメキシコ人、ラッセル・アコスタ。松本はWBOの1位です。会場はTOYOTA ARENA TOKYOで、井上拓真対那須川天心の再戦と同じ興行に組まれました。ただしこの試合は、勝った瞬間に正規王者になれるわけではありません。日本ではまず見ない、少し変わった形の世界戦です。

勝っても13日待つ仕組み

予定では、正規王者のコラーゾは10月10日まで王者のままでした。

WBOは8月25日付の通達で、コラーゾが王者のままフライ級のリングに上がることを認めました。そのうえでゴングが鳴った瞬間に王座を空位とし、9月27日の勝者を正規王者に昇格させるとしています。

松本が勝っても、正規王者と呼ばれるのは13日後になるはずでした。

先に返上すべきだったコラーゾ

本来なら、こんな形にはならないはずでした。

フライ級の王者と戦う契約が決まった時点で、コラーゾがWBOの王座を返上するか、WBOが剥奪するのが筋です。帝拳の浜田剛史代表も「本来ならすぐにそうすべきところだと思うが」と不満を口にしました。現役王者同士の対戦という看板を守るため、WBOが興行側の事情を優先したと見られています。

9月27日の勝者は、その判断のうえで13日を待つはずでした。

骨折で宙に浮いた正規王座

その13日の仕組みが、試合の8日前に崩れました。

9月18日(日本時間19日)、コラーゾが練習中に肋骨を骨折し、10月10日のフライ級の試合は中止になりました。コラーゾと契約する米国のゴールデンボーイ・プロモーションズが発表しています。フライ級のゴングが鳴らない以上、コラーゾのWBO王座は空きません。

9月25日の会見では、WBOの立会人を務めるレオン・パノンシーロ アジア太平洋副会長が「現段階で松本―アコスタは暫定王座決定戦として開催される」と話しました。勝てば暫定王者ですが、正規王者に上がる時期はWBOの今後の判断を待つことになります。

会場と配信

9月27日の興行名はPrime Video Boxing 16です。

開場は16時、第1試合は16時30分の予定です。配信はAmazon Prime Videoの独占で、プライム会員なら追加料金なしで見られます。この日は世界戦が4つ並び、松本の試合もそのうちの1つです。

坪井智也、西田凌佑の世界戦も同じ日に組まれています。

最初の交渉相手はWBC王者

松本流星が最初にWBC王者と交渉していたことを示すバナー

9月27日の相手がアコスタに決まるまでには、曲折がありました。最初に交渉していたのは、WBC世界ミニマム級王者シヤクホルワ・クセへの挑戦でした。WBAを返上してWBCを取りに行くという、松本の狙いどおりの相手です。ところが交渉は難航し、並行してWBOの王座決定戦の話も進めることになりました。正式に決まったのは、WBOが通達を出すわずか3日前だったと浜田代表は明かしています。

難航したクセとの交渉

クセは南アフリカの選手で、WBCのベルトを持つ現役王者です。

BoxRecのミニマム級ランキングでは、クセが4位、松本が5位と並んでいます。実現していれば、ランキング上でも拮抗した世界戦でした。

交渉が難航した理由は、明らかにされていません。

寝つけない日もあった

相手が決まらないまま、練習だけは続いていました。

松本は会見で「練習がきつい時、まだ決まっていないことが頭をよぎったり、寝つけない日もあった」と振り返っています。発表会見の日取りが決まってからは、ぐっすり眠れるようになったそうです。

無敗の元王者でも、先の見えない時間は重かったことになります。

サウスポーから右のファイターへ

もう1つ厄介だったのは、2人の候補のタイプがまるで違うことでした。

クセはサウスポーで、アコスタは右構えからフックを振り回してくるファイターです。それでも松本は「どっちに決まってもいいように基本対策はしていた」と話しています。相手の研究より、自分の良いところと悪いところを見つけることに時間を使ったといいます。

決定が遅れても、準備は崩れていませんでした。

松本流星の戦績

松本流星がプロ7戦目で世界王者になったことを示すバナー

松本流星は1998年5月14日生まれの28歳、帝拳ジムに所属するサウスポーです。プロ戦績は8戦8勝4KOの無敗で、7戦目で世界王者になりました。4歳でボクシングを始め、日本大学を経て全日本選手権を制しています。プロテストは普通、4回戦から始めるC級を受けますが、松本はアマチュアの実績を認められて6回戦から始めるB級で合格しました。WBAの王座を争った高田勇仁とは、2度戦っています。

4歳から始めたボクシング

ボクシングを始めたのは4歳のときでした。

日出高校から日本大学へ進み、2021年に大学を卒業して三重県スポーツ協会に所属します。その年の全日本選手権ライトフライ級で優勝し、アマチュア通算は92戦77勝15敗でした。

2022年にB級のプロテストに合格し、翌年2月にデビューしています。B級は、全日本ランキング10位以内に相当するアマチュア実績がないと受けられません。同じ帝拳・日大出身の坪井智也はさらに上のA級で、こちらは史上2人目という特例でした。

7戦目で世界王者に

戦目 日付 相手 結果
1 2023年2月4日 エルソン・トリニダード 3回KO
2 2023年9月4日 ダーウィン・ボヨネス 10回判定
3 2024年2月3日 ジョマー・カインド 10回判定
4 2024年9月25日 森且貴 7回TKO(日本王座獲得)
5 2025年2月1日 岡田真虎 4回KO(日本王座防衛)
6 2025年6月7日 ジョン・ケビン・ヒメネス 4回KO
7 2025年9月14日 高田勇仁 5回負傷判定(WBA王座獲得)
8 2026年3月15日 高田勇仁 12回判定(WBA王座防衛)

プロ4戦目で、日本ミニマム級の王座を獲りました。

そして2025年9月14日、名古屋のIGアリーナで高田勇仁とWBA世界ミニマム級レギュラー王座決定戦を戦います。5回に偶然のバッティングで高田が続行できなくなり、5回1分26秒の負傷判定3対0で勝って世界王者になりました。帝拳ジムにとって初めての最軽量級の世界王者です。

この日のメインは井上尚弥対ムロジョン・アフマダリエフで、Leminoが無料で生配信しました。

フルマークの初防衛

負傷判定という決着だったため、半年後に再戦が組まれます。

2026年3月15日、横浜BUNTAIで高田勇仁と2度目の対戦。今度は12回を戦い抜き、ジャッジ3人全員が120対108をつける完勝でした。1ラウンドも落とさなかったことになります。

この興行はU-NEXT BOXING.5として、U-NEXTの独占で配信されました。

U-NEXT格闘技公式「【U-NEXT BOXING.5】松本流星vs高田勇仁|ハイライト|WBA世界ミニマム級 タイトルマッチ」

返上した王座は石井武志へ

松本が手放したWBAの王座は、すぐに次の持ち主が決まりました。

2026年9月2日、横浜BUNTAIで大橋ジムの石井武志がウィルフレド・メンデスを1回1分5秒で倒し、空位のWBA世界ミニマム級王座を獲得しています。石井は松本のスパーリングパートナーを務めていた選手でした。

この試合はLemino BOXINGとして、Leminoプレミアムの独占で配信されています。

相手は無敗のアコスタ

ラッセル・アコスタが17戦全勝で初の海外戦に臨むことを示すバナー

ラッセル・アコスタはメキシコ南東部、ユカタン州メリダに住む27歳の右構えです。戦績は17戦17勝6KOの無敗で、松本と同じく一度も負けていません。無敗同士の世界戦ということになります。2020年3月にデビューし、2025年9月には北米ボクシング連盟(NABF)のミニマム級王座を獲りました。ただし、そのキャリアには大きな偏りがあります。17戦のすべてを、メキシコの限られた地域で戦ってきました。

17戦全勝の6KO

数字だけを見ると、アコスタはKOで勝つタイプではありません。

17勝のうちKOは6つで、KO率は35%です。直近の2026年6月の試合も10回判定勝ちでした。判定で勝ち切ってきた戦績と言えます。

松本の8戦4KOと比べても、倒す割合は低めです。

ユカタンから出ない男

BoxRecで全戦績をたどると、アコスタの特徴がはっきりします。

プロ17戦のうち16戦がユカタン州、残る1戦も隣のカンペチェ州でした。ほとんどが地元メリダでの試合です。つまり9月27日は、アコスタにとって初めての海外、初めてのアウェーになります。

坪井智也の相手マラジカと同じく、日本のリングはまったく未知の場所です。

NABF王者の左フック

警戒すべきは、接近戦での左フックです。

アコスタは前へ前へと出てきて、下からも攻めてきます。ボクシングモバイルは回転力を活かした連打と、好機を逃さず攻め込む嗅覚を備えた好戦型と評しました。世界初挑戦の勢いで、序盤から距離を詰めてくると見られています。

サウスポーの松本にとって、距離の管理が勝負を分けます。

松本流星のマタドール作戦

松本流星がマタドールのように戦うと語ったことを示すバナー

前に出てくる相手に対して、松本が思い描いたのは闘牛士の姿でした。「足を使って打って弱らせてマタドールでいきたい」と会見で語っています。ただし、ひらりとかわすだけのつもりはありません。3月の再戦はジャッジ3人全員がフルマークをつけた完勝でしたが、KOで終わらせられなかったことを本人は悔やんでいました。9月27日は、その課題に向き合う試合でもあります。統一戦についての考えも、松本らしいものでした。

最後に仕留める闘牛士

マタドールには、続きの言葉がありました。

松本は「避けるだけがマタドールじゃない。最後は仕留めないと」と話しています。足を止めれば相手の距離になりますが、打ち合う準備もしているそうです。やってみて大丈夫そうなら打撃戦も、とまで口にしました。

盛り上がる場面を自分で作りたい、という意識です。

フルマークでも悔しかった理由

1ラウンドも落とさなかった3月の試合を、松本は満点とは見ていません。

判定までもつれたことを課題に挙げ、今回を「勇気という課題をクリアできる機会」と位置づけています。プロ8戦のうちKOは4つ。世界戦の2試合はどちらもKOではありませんでした。

無敗に加えて、倒しきる強さを見せたい一戦です。

統一戦は価値を付けてから

勝てば、次は統一戦という話になります。

ところが、石井武志との日本人同士の統一戦を振られた松本は乗ってきませんでした。「獲ってすぐの統一戦は面白くない。チャンピオンの価値を付けてからの方が面白いんじゃないですか」。自分が持っていたベルトであり、スパーリングパートナーとして来てもらっていた相手でもあります。

まずは王者として防衛を重ねる、という順番です。

よくある質問

松本流星に関するよくある質問のバナー

松本流星について、検索の多い疑問をまとめます。最も多いのはなぜWBAの王座を返上したのかという質問ですが、これはスーパー王者のコラーゾと戦うために他団体のベルトを取りに行ったからでした。ほかにも次戦の日程や、最初に交渉していたクセとの話がどうなったかなど5つを選びました。試合の日程や条件は変わることがありますので、当日は公式の案内もあわせてご確認ください。

松本流星はなぜWBAを返上したのですか?

他団体の強い王者と戦うためです。WBAのレギュラー王者のままでは、WBCやIBFなど他団体の王者との統一戦が承認されないことがよくあります。返上して他団体のベルトを取り、統一王者のコラーゾに挑む計画でした。

松本流星の次戦はいつですか?

2026年9月27日、TOYOTA ARENA TOKYOです。WBO世界ミニマム級暫定王座決定戦で、ラッセル・アコスタと戦います。

クセとの交渉はどうなったのですか?

最初はWBC王者クセへの挑戦を目指して交渉していましたが、話がまとまらず実現しませんでした。並行して進めていたWBOの王座決定戦に切り替わっています。

勝ったらすぐ正規王者になれますか?

すぐにはなれません。当初はコラーゾのフライ級の試合のゴングと同時に正規王者へ上がる予定でしたが、その試合はコラーゾの肋骨骨折で中止になりました。9月25日時点でWBOは暫定王座決定戦として行うとしており、正規王者になる時期は決まっていません。

9月27日はどこで見られますか?

Amazon Prime Videoの独占配信です。プライム会員なら追加料金なしで視聴できます。地上波での放送はありません。

本ページの情報は2026年10月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。

まとめ

松本流星が返上の先に目指す王座をまとめたバナー

松本流星がWBAの王座を返上したのは、同じ階級の頂点にいるオスカー・コラーゾと戦うためでした。ところがコラーゾはフライ級へ向かうことになり、WBOの王座は空位になる予定でした。最初に交渉したWBC王者クセとの話もまとまらず、寝つけない日を経て決まったのが、9月27日のWBO暫定王座決定戦でした。さらにコラーゾの骨折でフライ級の試合が中止になり、勝っても正規王者に上がる時期が決まっていない世界戦になりました。

相手のラッセル・アコスタは17戦全勝で、すべてを地元メキシコで戦ってきました。前に出てくる相手を、松本はマタドールのように迎え撃つつもりです。3月の完勝でも満足しなかった本人が、今度は最後まで仕留めにいけるかが見どころになります。

配信はAmazon Prime Videoの独占です。プライム会員であれば追加の料金はかかりません。

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